今月の経理・税務
- 10月分の源泉徴収税額・特別徴収税額の納付……10日
 - 9月決算法人の確定申告と納税……決算応当日まで
 - 3月決算法人の中間(予定)申告と納税……決算応当日まで
 - 12月・3月・6月決算法人の消費税・地方消費税の中間申告……決算応当日まで
 - 10月分の社会保険料、子ども・子育て拠出金の納付……12月1日
 
      経理担当者は年末に向けて、冬季賞与の査定・計算・支給事務、年末調整など多忙を極めます。
      年末調整については、11月から準備を進める必要があります。各種控除申告書などの関係書類については早めに入手し、社員に配付しましょう。
      このとき、年末調整に関する注意事項や、控除を受けるために必要な控除証明書などが一覧できる資料を作成し、一緒に配るとよいでしょう。
      特にことしは、税制改正に伴い、「基礎控除の見直し」「給与所得控除の見直し」「扶養控除・配偶者控除等に係る所得要件の見直し」「特定親族特別控除の創設」や、それらに伴う各種書式の変更等、年末調整に関する変更点が多数あります。
      年末調整の手順等を解説した動画やパンフレット、各種申告書などに関する情報は、国税庁ホームページの「年末調整がよくわかるページ( 令和7年分)」から入手・閲覧できます。
    
      冬季賞与の支給、歳末商戦など何かと資金が必要な時期を迎えます。年度末にかけての資金計画を見直し、借入れが必要な場合には、金融機関に提出する書類の整備を進めます。
      「資金繰り表」「返済計画表」「業績説明書類」は、借入申込みに際して欠かせない資料です。間違いのないように、入念にチェックしましょう。
    
      3月決算法人は、11月が中間申告・納税の時期に当たります。
      中間申告には、前事業年度の納税額の2分の1を納付する予定申告と、仮決算による実績申告の2種類があります。事務負担も考慮して都合のよい方法を選択しましょう。
      ただし、仮決算した法人税額が前期基準額(前事業年度の確定法人税額の2分の1)を超える場合は、選択できるのは、予定申告による方法のみとなっています。
      災害の影響などから、法人税や消費税についての中間申告書を提出期限までに提出することが困難な場合は、提出期限の延長が認められます。
    
      歳末セールの実施に際しては、値引販売や販促費の支出、アルバイトの人件費など、例月にない売上形態や費用が発生します。
      これらの費用は、営業の現場で突発的に発生するものも多いので、費用支出・売上計上の適法な処理についてチェックしておきましょう。
    
      冬物商戦用の仕入れ、3月決算法人の中間納税などの必要資金を確保するためにも、得意先管理を徹底し、売掛金の完全回収に努めましょう。
      滞留売掛金の状況や、支払いの悪い得意先を資料にまとめるなどして、積極的に営業支援に取り組みましょう。
      また、経理から残高確認書を送って残高確認を行なうことも、モレのない回収につながります。
    
      最近では異常気象のためか、日本各地で大雨などの災害が発生することも珍しくなくなりました。
      社員が災害で損害を受けたときには、所得税の雑損控除か、災害減免法による所得税の軽減、または免除のいずれかを選択適用できます。
    
      【雑損控除】
      災害(震災、風水害、冷害、雪害、落雷、火災など)により発生した損失について、次のいずれか多い額を所得から控除できます。
    
      1.〔損害金額+災害関連支出の金額(※)-保険金等の額〕-総所得金額等×10%
      2.(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円
      ※ 災害関連支出の金額=災害により滅失した住宅、家財などを取壊しまたは除去するために支出した金額など
    
なお、損失額が大きく、その年の所得金額から控除しきれないときは、翌年以後3年間(特定非常災害に指定された災害により発生した損失の場合には5年間)に限り、繰り越して各年の所得金額から控除できます。
      【災害減免法】
      災害によって受けた住宅や家財の損害金額(保険金などにより補填される金額を除く)がその時価の2分の1以上で、かつ、災害に遭った年の合計所得金額が1000万円以下の場合には、所得税額が軽減または免除されます。
    
      ・合計所得金額500万円以下→ 所得税額の全額を免除
      ・同500万円超750万円以下→ 所得税額の2分の1を軽減
      ・同750万円超1000万円以下→ 所得税額の4分の1を軽減
    
      また、被災の状況によっては支援金が支給される被災者生活再建支援制度の対象にもなります。
      利用可能な制度について情報を収集し、本人にも確認を勧めましょう。
    
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック